機能と工夫

ひかり

太陽と四季を感じながら
生活リズムを保つ
はしもとの家の天井は少し変わったカタチをしています。真っ白な壁がいろんな角度や方向に切り取られているのです。これは漆喰を塗ったリフレクター(反射板)に太陽光を反射させ、空間をやわらかく満たすため。太陽の一日の動きや季節ごとの傾きを計算し、ハイサイド窓からの清々しい朝日を寝室とキッチンへ、昼間の暖かい光をリビングへ、夕焼け空をダイニングへ届けます。また夏には日差しを和らげ、冬には十分な光を取り込めるよう設計しました。
畑で野菜を育てたり、花壇に花を植えたりと外出する機会が多かった人も、歳を重ねるにつれて家の中ですごす時間が増えてきます。ずっと室内にいても、太陽の動きをゆるやかに感じながら、人間が本能的にもつ生活リズムを崩さず、四季折々の喜びを感じられる空間をつくりました。

手すり

手すりでありながら、
インテリアでもある
上部に丸みをつけた手すりを、玄関からキッチン、リビングまで一周ぐるりと設置しました。形状や高さはいろんなパターンを調査・実験し、オーナー様に最適となるよう設定します。使い勝手のよい手すりですが、一見すると手すりと気づかない人もいるでしょう。それは洗練された壁面装飾として、美しい木目の化粧板と一体化し、備えつけの家具とも調和するようデザインされているからです。さらにタオルや洋服をかけたり、日用品を引っかけたりできる工夫も施しています。
オーナー様に手すりが必要となるまでは、インテリアのアクセントとなるお洒落な装飾として機能し、手すりが必要となった際には、「自分の力で歩く」という、人間の尊厳にも関わる大切な行為をしっかりと支える役目を果たします。

テーブルと椅子

人を支える工夫を、家具にも
はしもとの家には、ダイニングテーブルや椅子が用意されています。我々の本業は建物をつくることですが、「老い」と本気で向き合うのなら、私たちが毎日使う家具にも、使う人の負担を減らせる工夫が必要だと考えたからです。
テーブルには、立ち上がる際につかみやすい丸みと、飲み物が床までこぼれ落ちないようにするための傾斜がついています。またテーブルの脚には、車椅子がぴったりと収まるように高さ調節機能をつけました。椅子には、立ち上がり動作、座り直し動作、座った状態で手を伸ばしてモノを取る動作など、いろんな調査・実験を踏まえて最適な形状を取り入れました。また背もたれや座面など、手の触れる箇所は、にぎりやすく持ち運びしやすいカタチになっています。

明かり

見やすく、心地よく、照らす
日中の太陽光を室内に取り込むリフレクター(反射板)は、夜間にも特別な役目を果たします。室内照明を天井全体に拡散し、人の目にやさしい「見やすさ」をつくるのです。そして壁面に設置された間接照明が、やわらかい光で空間全体を包み込み、「心地よさ」を演出します。ダイニングには食卓を鮮やかに彩るよう調光されたLED照明を、寝室には目線の高さを避けた壁面の間接光とベッドサイドライトを設けました。
読書や裁縫が好きな人にとって室内照明の役割は重要です。モノの見やすさだけでなく、居心地や気持ちの浮き沈みにも影響します。歳を重ねて徐々に視力が低下していくなか、最も見やすく、心地よい照明とは?を調査・実験から導き出し、室内空間全体に反映しました。

額縁

あえて、楽しく目立たせる
窓のサッシやスイッチ類は目立たないよう隠してしまうのが近年の主流です。けれど暗い場所で電気のスイッチを探すのは大変ですし、コンセントの挿し口がどこにあるのかを忘れてしまう人もいるでしょう。我々は、今までの常識にとらわれず、「スイッチ類は目立ったほうがいい」と考えました。
そこで「額縁」というモチーフを取り入れ、ちょっとした遊び心を加えてみました。スイッチ類には額縁を模した木枠をはめてインテリアの一部として演出。窓は木製の建具にすることで、窓が外の風景を切り取った一枚の絵画となりました。さらに、子どもや孫の絵を飾れるスペースも用意。日常生活を便利に楽しくすごせる演出を施しました。

色彩と素材

見て、ふれて、香る空間
一日の大半を家の中ですごすようになると、長い時間、同じ場所で同じ景色を眺めることになります。ずっと室内にいても苦にならない、心が沈まない、むしろ心地よく穏やかに感じられるような工夫ができないかと考えました。
キッチンからダイニング、リビングは、オーナー様の好みを反映しつつ、なるべく素材本来の色を活かし、木製の手すりとも調和する色彩を選びました。また水回りにはモザイクタイルをグラフィカルに配置。
そのほかにも石(大谷石)、天然木(ナラ材)、土(漆喰)など自然由来の素材を随所に使用し、ふれたときに感じる凹凸、ほのかに香る木の匂いなど、人の五感をそっとやさしく刺激する、明るく軽やかな空間をつくりました。
立ち座りがしやすい玄関腰かけ
オーナー様の体型や身長にあわせて、足腰への負担が最も少ない位置へ設置。靴が履きやすく、立ち座りがしやすい環境を整え、外出の妨げとなる心の不安を減らします。
全館空調と風の流れで温度管理
全館空調に加え、床下のファンとハイサイド窓の煙突効果でスムーズな風流をつくり、温度のバリアフリー化を実現。寒い季節にはヒートショックを和らげる働きをします。
にぎりやすい形状の外手すり
感触のよい木材を使用した外手すりには、手のひらをしっかりと固定できる幅と厚みを持たせ、伝い歩きや階段の上り下りにちょうどよい高さに設置しました。
家事をラクにする動線設計
食材など荷物の移動距離がなるべく短くなるよう、玄関近くにパントリーを設置。また重労働となる洗濯から物干し、収納までの動線も、可能なかぎり短縮しました。
天気を気にせず過ごせるデッキ
デッキに深い軒を設けることで、室内の延長のような使い方ができるように。夏の直射日光や雨天など、天候を気にせず、ゆっくりと風を感じながらすごせる場所をつくりました。
抗菌・抗ウイルス対策
細菌やウイルスを室内へ持ち込まないよう、玄関に洗面コーナーを設置。また人が触れる箇所をできるだけ減らすとともに、抗菌・抗ウイルス作用のある建材を使用。十分な感染症対策を施しました。
心おきなく楽しむ野菜の収穫
自然とのふれあいや適度な運動ができるよう、庭に小さな畑を設けました。通りからの見え方を考慮して植栽を配置しているので、他人の目線を気にせず、畑仕事にいそしめます。
耐震等級3認定/長期優良住宅
住宅性能表示制度において最も高いレベルを示す耐震等級3を満たしています。さらに劣化対策、省エネ性能など各基準をクリアした長期優良住宅に認定されているので、税制面などの優遇措置が受けられます。
ZEHによる光熱費削減
太陽光発電と省エネ設備の導入、さらに高気密・高断熱設計により、エネルギーの収支をゼロ以下に抑え、光熱費を大幅に削減。ZEH住宅による補助金制度が活用できます。

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